ダンスによる故障


「楽しいダンス、故障なくいつまでも続けて行きたい」こうした思いはプロアマ問わず共通だと感じます。 しかし、そうした思いとは裏腹に、全く問題ない体で踊りを続けて行くことの難しさは、すべてのダンサーが身にしみて感じていることだと思います。

バレエ、ジャズダンス、ストリートダンスやスペイン舞踊などなど、ダンスによる故障には、踊っている最中にぶつけてしまったような打撲などを除けば、大きく2つのパターンが多く見られます。一つは疲労が原因によるものと、もう一つテクニックミスによるものです。 またこのどちらもが、常に互いを呼び起こす原因となり、疲労がテクニックミスにつながり、テクニックミスが疲労を加速させるとも考えられます。

疲労による故障は、体(筋肉、関節、臓器など)の疲労が原因で、本来の動きに制限がかかることで、例えばジャンプの際に上手く着地出来なかったことで足首などを痛めたりなどと、通常出来ていることが出来なくなってしまうことで、それが故障へと発展してしまいます。

疲労していると微妙な判断が鈍り、コントロールする力を低下させます。 繊細な仕事を体に貸すためには出来るだけ疲労の少ない体で、準備万端踊りに向きあいたいものです。 また、疲労しているという自覚があるならば、予め動きを制限するなどの配慮が必要でしょう。 一度の故障がダンス人生を終わらすこととならないためにも、疲労を貯め過ぎないようにメンテナンスを心掛けましょう。

テクニックのミスは、最初に書きましたように疲労が原因となって、テクニックミスにつながることが多いため、同時に自身の体の状態も考慮に入れなければいけません。 ただし必ずしも疲労だけとは言えない、テクニックミスが原因の故障もたくさんあります。

その一つとしてとして、プリエやアンディオールの仕方など、体の扱い方などの初歩的な基本テクニックのミスが、体に少しずつ負担を掛けて行き、ついには腰やひざ足首の痛みや、動きの制限となるテクニックのミスの積み重ねが原因のものと。一発で故障につながるようなテクニックのミスが原因の故障。例えば大きなジャンプからの着地のミスや、グランバットマンなどでの下肢や腰への故障(肉離れなど)があります。

どちらも避けたいテクニックのミスですが、特にプリエのポジションや、体の扱い方のミスは、十分に回避できるミスにも拘らず、大半のダンサーがこうした、初歩的な基本の中でのミスが故障となっているケースは大変多いのです。

こうしたケースを避けるため、特に多い初歩的なミスは、頭で理解しても染みついてしまった体癖はなかなか改善しにくいため、じっくりと取り組む必要性を感じます。

 

point

ダンサーのダンスによる故障の多くは?

ダンサーは振付などにより、自身の可動域外に体の一部を瞬間的にもって行ったり、可動域外で持続的に動かしたりしなければいけない時があります。

そんな時にたいていのダンサーの故障は起きています。

逆に可動域内での動き(ダンス)であれば、故障につながる確率もかなり低くなるでしょう。

自身の体が今どうであるのか?

昨日気持ちよく出来ていたことが、今日できるのか?

の冷静な判断が、故障を最小限に抑えた、ダンスライフには欠かせない要素だと考えます。

 

よくあるダンサーの故障

一部ではありますが部位別に紹介します

首の故障

首(頸椎やその周辺組織)の故障は、バレエでは着地の際のミスなどで、頸椎関節に大きな負担がかかることで起きることが多い症状としてあげられます。
ストレートネックと呼ばれる、頸椎に生理的湾曲が少なくなっている状態を指し、ダンサーに多くみられますが、といってすべてのそうした頸椎のダンサーが故障するわけではありません。
また同じストレートネックでも、頸椎周辺の筋肉の緊張がとても強いダンサーと、全く緊張がないダンサーがいますが、故障しやすいダンサーは前者の緊張が強いダンサーに多くみられます。その緊張はもちろん首だけではなく、そのほとんどが背骨全体に及んでいることが多く、そうした緊張を緩め調整することが予防につながります。また、他ジャンルのダンスでは、頭を回したり、頭頂でターンしたりと、ダイレクトに負担がかかることでの故障も多くみられます。

腰の故障

腰の故障、痛みや違和感、疲労感は、ダンサーに一番多く感じられている症状かもしれません。
先ほど首の故障で触れたストレートネック。これは首だけに起こることではなく、首にあればほとんどが腰にも表れることが多く、本来湾曲は衝撃を和らげる役目を担うため、その湾曲が少ないことはそれだけでも故障のリスク、確率が上がると考えられます。
また、腰を痛めたり、負担を掛けるきっかけとなる動きの代表が「体を反らせる」動きです。反った時に痛めたというのをよくお聞きします。
例えばアラベスクは、お尻や腰の筋肉(体の後ろの筋肉)を使って反るようにして行う動きですが、見方を変えるとに胸の前やお腹、股関節前面などを伸ばすことによって完成する動きとも言えます。見方や捉え方、感じ方を変えると体は別人のように変化します。体の中心である腰はとても負担がかかるため、出来るだけその負担を軽減したいものです。

股関節の故障

股関節、特に前面のソ径部周辺に起こる故障は大変多く、これにより足の上げ下げに、外旋(アンディオール)の障害となります。
原因として多いのが、アンディオールの際に可動域をはるかに超える無理な過伸展です。ソ径部を構成する組織に酷ければ炎症などに至っているケースも多くあります。 アンディオールは踊りの要ではありますが、無理なアンディールは有害でしかありません。
無理がかかり過ぎたアンディオールでは、あらゆる優れたダンス理論は全く機能しなくなってしまいます。お気を付けください。

大腿部の故障

大腿部の故障は主にハムストリング(もも裏)や内転筋などに多くみられます。
ハムストリングでも付け根の部分に、伸展の際激しい痛みを感じる方も多くいます。明らかにブチっと痛めたと分かる感覚がある場合もあれば、くすぶっていた違和感が突然痛みだすケースもあり、共に筋組織の炎症に至ってない場合でも、治るまでにとても時間のかかる症状であることが多いです。腰と同様にこのハムストリングを痛めてしまうと、できることがガクンと少なくなってしまうので、皆我慢しながら行うことが多いようで、それがさらに回復を遅らせている原因ようです。

膝、足首の故障

膝や足首の故障で、ダンサーに多くみられる症状としては、やはりポジショニング、それによりアンディオールの問題が原因となっていることがほとんどです。
無理なアンディオールは大腿部と膝下の捻じれに加え、膝下(脛)と足部の捻じれを起こし、膝、足首に非生理的な負担を掛けることとなり、さらに足部の捻転までになると外反母趾や土ふまずの消失が見られるようになります。
アンディオールの問題は他であらためて触れようと思いますが、こうした症状が膝下に出るようであれば、骨盤の歪みとそれに伴い、その影響は上体に必ず影響が出ます。また膝に捻じれがあれば、肘にも同じように捻じれとして表れることも多く、手首の動きの悪さは足首の動きに通じてきます。

すべてのケースをここで記すことはできませんが、どの部位の症状もそれがどれにも関係し繋がっています。

いつまでも健康な体で踊りつづけて行くために、故障で諦めるのは悔しいですね。
当院は踊る体を応援します!


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